近年、ノマドワーカーという言葉が認知されるようになってきました。新たな仕事のスタイルとして目指している人もいるでしょう。自由なイメージに憧れる人も多くいますが、注意点もあります。ノマドワーカーの働き方について詳しく解説していきましょう。
ノマドワーカーとは?
ノマドワーカーの『ノマド(Nomad)』は英語で『遊牧民』を意味します。遊牧民とは、拠点を移動させながら生活する人々のことです。
そのノマドと意味になぞらえて『ノマドワーカー』という言葉が生まれています。
ノマドワーカーの働き方の特徴
ノマドワーカーは特定の職業にこだわらず、場所にもとらわれずに働く人です。昨今インターネットの普及によってパソコン1台でも仕事ができる時代になりました。
パソコンのスキルやインターネットを利用して稼ぐ仕組みを身につけると、ノマドワーカーとして世界中のどこにいても生活が成り立つでしょう。
有名なクリエイターのなかにも、特定の住居を持たずに世界中を転々として仕事をしている人もいます。
ノマドの世界に飛び込みたいなら準備が大切
ノマドワーカーの働き方をみると「自分も何かに縛られずに生きてみたい」と感じるかもしれません。しかし、ノマドの世界に飛び込むにはある程度の準備が必要になります。
- 収入が不安定になる
- 実績や実力がないと稼げない
- ローンが組みにくい
以上がノマドワーカーになる前に心に留めておきたい内容です。
会社員のように毎月一定の収入が望めなくなることは、社会人にとって非常に不安な状態と言えるでしょう。生活設計にも影響が出てくるので『どのように仕事を獲得していくか』も重要です。
仕事を獲得するためには実力や実績を積み上げていかないと、よい案件に巡り会えないでしょう。
収入が不安定になりやすいことから、ローンが組みにくいのも現状です。これらを考えるとノマドの世界に飛び込む前に金銭面での準備が必要となります。
ノマドワーカーと似て非なる働き方
ここからは、ノマドワーカーと似ているようで厳密には違う働き方を解説します。
ノマドワーカーとフリーランスの違い
『フリーランス』という言葉も、ノマドワーカーと同様によく耳にするでしょう。フリーランスは企業との契約形態の1種と言えばわかりやすいかもしれません。
一般的な企業なら正社員・パート・アルバイトなどとして契約します。それらとの勤務スタイルとは異なり『特定の案件について請け負う』のがフリーランスです。
例えば、「1月15日までにこのデザインをいくらで完成させる」など『案件ごとに契約する』のがフリーランスの特徴です。
一方のノマドワーカーは、会社に属していたりフリーで活動していたりといったさまざまな勤務形態があります。あくまでも定義は『仕事場所を自分で決めて作業する』スタイルを指しているのです。
つまり、単発の請負の案件について、自宅やオフィスなどの拠点で作業するのがフリーランスですが、場所を転々としながら作業するなら、フリーランスとノマドワーカーのどちらにも当てはまります。
コワーキングとは
コワーキングとは、オフィスなどの『働く場所を共有すること』です。共有している場所を『コワーキングスペース』と呼びます。
集まる人々は、全員が知り合いや同じ仕事をしているわけではありません。仕事の場を共有しているだけで、取り組んでいる仕事は別々の案件である場合がほとんどです。
コワーキングスペースは、外で仕事をするために必要なWi‐Fiや電源などの設備が整っているので、ノマドワーカーが利用する頻度は非常に高いと言えるでしょう。
フリーアドレスとは
フリーアドレスは『オフィスレイアウト』の一つです。一般的な企業は、誰がどのデスクを使うかが決まっています。
フリーアドレスは『出社時に毎回好きなデスクを選んで仕事をする』スタイルです。日によって利用するデスクが異なるので『社内ノマドワーカー』と呼ばれることもあります。
ノマドワーカーになるメリットとデメリット
ノマドワーカーの意味や、似ている用語との区別が理解できたでしょうか。ここからはメリットとデメリットを解説します
働く場所や時間、環境を自分で選べる
ノマドワーカーは、最大の特徴でもある働く場所を自分で選べることに加えて『実働時間も自由に選択できること』がポイントです。
「今日は午後から用事があるから午前中の3時間だけ働く」や「明日は仕事に集中できるから10時間頑張ってみよう」など、自分のスタイルで活動できます。
朝の目覚めにコーヒーを飲みながら作業をしたり、海辺の波音が聞こえる場所で仕事をしたりするのも自分の裁量次第です。
作業環境を変えることが刺激になり、仕事にもよい影響をもたらすことも期待できます。
人間関係からのストレス軽減
会社員は少なからず、社内の人間関係にストレスを感じるでしょう。いろいろな人が会社に勤めているので、ときには苦手な人と一緒に仕事に取り組むことも必要です。
その点、ノマドワーカーは『価値観や考え方が合う人と仕事をともにすること』を選択できます。
ときには一緒に旅にでたり、プロジェクトを立ち上げたりといった関わり方も可能です。望まない人間関係で仕事をすることがなくなるので、ストレスの軽減につなげられるでしょう。
また、1人では長時間集中力が持続しない人もいるかもしれません。同じスタイルで働いている人と場所をともにすれば、ほかの人の仕事に向き合う姿勢からよい刺激を受けられるので有効です。
仕事がネット環境や電源の有無に左右される
ノマドワーカーの多くはインターネットやパソコンを使う仕事をします。そのため、インターネットの環境や電源の環境が整っていないと仕事が進みません。
しかし、田舎の牧歌的な場所に旅をしつつ仕事をする場合などには、インターネットの環境がないこともあるでしょう。
ノマドワーカーになるなら『ポケットWi-Fi』を契約するなど、事前の対策を心がける必要があります。
ノマドワーカーに向いている職種と仕事内容
すべての職種がノマドワーカーに適しているわけではありません。どのような職種や仕事内容がノマドワーカーに向いているのか紹介します。
クリエイティブ系の職種
場所を問わずに作業できる職種には『ライター』や『エンジニア』などのクリエイティブな仕事が適しています。『パソコン1台で完結する仕事』はノマドワーカーに向きです。
ただし、クリエイティブ系でも『チームで連携する必要があるもの』はノマドワーカーにはおすすめできません。『実際に会って打ち合わせをすることが必須になるケース』も想定されるからです。
フリーランス
いろいろな企業から案件を請け負うフリーランスも、ノマドワーカーとして活動できます。先ほど紹介したライターやエンジニアの中にも『フリーランス×ノマドワーカー』の人が多くいるのです。
そのほかにも、デザイナー・プログラマー・カメラマンなどは決められたオフィスがなくても作業ができるので、ノマドワーカーにぴったりでしょう。
フリーランスのノマドワーカーなら日本全国、さらには世界中どこにいても作業が可能です。自分の好きな場所に訪れて、観光を満喫しながらも仕事をしっかりとこなすという生活が実現できます。
コンサルタントや経営者
『コンサルタント』とは『クライアントに自分の知識やノウハウを提供して課題を解決する仕事』です。特定の分野に関する専門的な知識があれば、個人での活動も十分可能です。
クライアントとカフェで会ったり、自宅で資料を作成したりなどノマドワーカーとしても働けるでしょう。
また、『経営者』もノマドワーカーには向いている職種です。経営者になると、ある程度仕事内容を自分で決めて自由にこなせる立場になります。
社外で他社の経営者と会って新たなプロジェクトについて打ち合わせをしたり、人事について考えたりなど場所を変えて仕事をこなせるのは、スケジューリングをする際に非常に有効です。
ただし、前提として自分の会社の業績には一切の責任を追う必要があるうえに、部下の育成も必要になるでしょう。『完全に自由な身である』とは言い切れない責任のある立場です。
まとめ
働くスタイルとして新たに登場したノマドワーカーは、場所や時間、環境を問わず仕事や生活をしている人を指します。
悠々自適に生活しているイメージから憧れを持つかもしれませんが、ノマドワーカーの世界に飛び込むためには準備も必要です。
ノマドワーカーの実情は、メリットだけとは限りません。インターネット環境や電源がないと仕事ができない職種がほとんどです。
外で作業する際にはポケットWi‐Fiなどを常に携行するなど、いつでも仕事ができるような対策をとりましょう。